From: 加藤 智之 , Date_No: 2000-04-12_13
加藤です、こん○○は。 添加剤の話(その1) テフロン(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン、フッ素樹脂、他に似たような物多数あり) についてです。(ちなみに「テフロン」はデュポン社の登録商標) テフロン系は皆さんご存知のとおりマイクロロン、SX6000&8000、 スリック50などがあります。(あとは粉末状の物が数種) テフロンは大気中において0,04〜0,2と最も摩擦係数の低い潤滑剤ですが、 何故オイルメーカーや元売各社が採用していないのでしょうか? それには大きな理由があります。 添加剤というのはオイルとは違い明確な規格というものが存在していません、 あえて言うならば販売会社の広告が嘘や誇大広告である場合さえあります。 はっきり言って「言ったもん勝ち」的なところがあり、例え他社が 「そんな効果は無い」といったところでそれを証明したり、公的な機関に 訴えるという事も出来ません、 だから添加剤はごまんとあるわけで、ある意味無法地帯とも 言えるわけです。 「当社の社内テストにおいては有効だった」と発言されればそれまでなんで・・・ で、PTFE系添加剤の真実ということで、あえて皆さんに真実を 知っていただこうと思うわけです。 まず、テフロン系の最大の弱点は ・荷重が大きくかかるところには使えない ・耐熱性に劣る(260℃で完全凝固する) 要は高荷重や高熱がかかることにより、フッ素樹脂同士が分子結合して 粒子が大きくなり、また熱により炭化してしまうということです。 特に高荷重には適さないというのはメーカーが出してる資料にも はっきりと記載してあるにもかかわらず、メーカーはエンジン内部に 被膜を作り潤滑力を上げると言っている・・・ エンジン内部には高荷重がかからないとでもいうのだろうか? これはモーターオイルに使うにはあまりにも大きく、致命的な欠点で あるわけです(沈殿する、油路につまる、フィルターを通過できない、 炭化した粒子(カーボン)がポリッシングといってピストンリング部など 潤滑面を引っ掻き、このとき発生した金属磨耗粉が接着剤の役割を果たし、 焼き付きを誘発してしまう、などなど)。 「そんなはずはない」とお思いの方もいらっしゃる事でしょうが、 これは事実です。 その証拠にPTFE系添加剤を使用してるメーカーは資料などにも 一切「テフロン」使用とは書いていないはずです、 これは商標を持つデュポン社が1980年に「モーターオイルに配合するには 適しておらず、今後オイル、添加剤メーカーには供給しない」と発表している ことからも分かると思います。 なんで、添加剤メーカーは自社で似たような構造のフッ素樹脂を開発したり、 添加剤に使用しないという名目のもとデュポン社から入手したフッ素樹脂を 改良してみたりと、自社オリジナルPTFEを謳ってるわけです・・・ これらPTFE系販売各社はデュポン社のものより細かく沈殿しないと 謳ってるわけですが、現実問題添加前に細かいと言っても仕方が 無く、また密度も2,2とオイルの0,85〜0,98よりも重いわけで 沈殿は避けようが無いのです・・・ PTFE系添加剤のうたい文句はだいたい以下のようなものです。 ・焼き付き防止(潤滑力UP) ・圧縮比を回復する。 ・エンジン内部の汚れを取る ・燃費向上 などなど。 この謳い文句にも深い意味が隠されています(^_^;) 圧縮比を回復というのはメーカー曰く油中に浮遊している粒子が ベアリングの役目を果たし、金属間接触を防ぎながら密封作用を 高める、または微細な凹凸面に吸着して傷を埋めるということらしいですが まったくもってナンセンスですな、PTFEには物理的に金属表面に吸着する ということもなければ、面圧がかかった時点で粒子は固まるわけですから。 また、汚れを取るというのもPTFE自体の持つ作用ではなく、 PTFEのキャリア成分である溶剤(殆どの場合灯油系)の力 によるものだったりします。 (そりゃ、灯油系をいれればスラッジくらいは取れますな) しかも、機種によってはこの灯油系の溶剤がシールなどに悪影響を与え オイル漏れを誘発する場合があります。 またまた証拠に某うんたらは注入、処理後のオイル交換が望ましいとか、 注入後に長時間の走行をして下さいとか言ってますよね? (すぐに走らせる=熱を加えるのは溶剤成分を蒸発させるため、 走らないとオイルパン部などのシールに影響を与えるから) 添加量を厳しく指示してるのも多すぎると溶剤が多くなり、 また、ならしをしないと溶剤で油膜が薄くなっており焼き付きを誘発するか ら、です。 しかも、米国内においてはPTFE系添加剤に因るエンジントラブル多発の為 かのGM、クライスラーなどではテフロン系油脂を使用してのトラブルは クレームとしない旨を発表、使用しないように呼びかけています。 そんだけトラブルが多発したと言う事です。 実際、1970年代後半に多発した際、GM社はデュポン社と共同で 事実関係を突き止め、やはりそれが原因であることが判明して デュポン社の発表となったわけです・・・ また、某うんたらにはほにゃらら海軍認定!と言っておりますが、 これも1980年以前のデーターであり、それ以後の認定は受けて いないわけで、新しい年度の発表をしたくても1980年以後の 認定発表は出来ないんですな。 で、この商品は米国内で悪評が高まり、自国で販売しづらい状況に なったので日本での販売に活路を見出したと。 だから、PTFE系はアメリカ製が殆どでしょ? そんなわけでPTFE系の真実という事でしたが、これを信じるも信じないも 皆さんの判断にお任せします。 確かにカワサキ系にはPTFE系は有効という場合が多いですし (あえて弁明は避けますが・・・)、「効果があった」とおっしゃる方も いる事と思います。 しかし、それでは冒頭の通り何故メーカーが採用しないのでしょう? 有機モリブデンやZnDTPは製造メーカー純正オイルやオイルメーカーが 積極的に採用しているのに、です。 私はコスト的な問題ではないと思います、 だいたいにして、テフロンなどよりも有機モリブデンの方が断然高い! ホントに優れたものであれば必ず採用されるものなんです。 PTFEはクルマのポリマーコートやワックス、撥水剤などには とても有効です、これは各社を見てみれば明らかです。 しかし、PTFEポリマーコートでもバフを動かさないで一点に留めてると 焦げつきます(上記理由による)。 しかしエンジンオイルには・・・ 私が皆さんにお知らせしたかったのは以上です。 気を悪くされた方もいらっしゃる事と思います、そういった方には 謝るしかできないのですが、こういった業界内でも一部の者しか知らない事 もあるわけでして、そんな事も皆さんに知っていただきたいと思って 投稿させていただきました、申し訳ありませんでしたm(__)m あとはこれを参考にしていただき、各自で判断していただきたいと思います、 では。 ******************************************************* 2000.04.12 加藤智之 YZF-R1(青),TDR-250(青),QA-50(黒) *******************************************************